2015年11月20日

古事記 現代語譯 古事記(6)

△○□には、もう一つの意味が込められています。
それは△○□で「アイキ」と読むことですが、八千代合気会の皆さんは「モチロ」と読むのよりももっと良くご存じのことかと思います。どうしてそう読むのかということは『合気道の王座』(1960年NTV制作の映画)の中に開祖が座学で教えられている場面が映されていて、そこから分かります。
次の写真がその座学の資料です。 
イキ(天の呼吸 地の呼吸)3.jpg


映画では、この図は模造紙に書かれていますが、昭和43年(1968)6月16日の武産合気教室で開祖が合気道の教学を講義された折には半紙のようなものに書かれているものを示されていたように記憶しています(確か合気道新聞でその時の写真を見たという記憶に基づいていますが、定かではありません)。したがって、合気道の教学の核心部分になるものと受け取って良いでしょう。
この資料には、一霊四魂三元八力の右に△○□(三元の図)、その右に「水火の結び」の図が描かれています。一霊四魂三元八力の働きにより宇宙全体の姿(△○□)が整い、アイキ(合気)が生まれた、ということになると思いますが、この映画では「天の呼吸と地の呼吸を人は受けて」という説明がなされていることが分かります。この水火の図の丸は「水」で出る息、四角は「火」で入る息を表わすものです。出典を辿れば山口志道の『水穂伝(みずほのつたえ)』に行き当たり、そこに「出息は水なり○(まる)なり 引息は火なり□(かく)なり」と書かれていることが分かります。
出息入息_水穂伝1s.jpg


山口志道によると、水火と書いて「イキ」と読むので、水火の図の横にフリガナが振られています(水=イ、火=キ)。一番上の丸と四角が重なった水火の結びの図は、合気道では天の呼吸と地の呼吸が合したもの、即ち武産合気を表わしています。

「それで天の呼吸、地の呼吸を腹中に胎蔵する。自分で八大力の引力の修行をして、陰陽を適度に現し、魂の霊れぶりによって錬磨し、この世を浄めるのです。吐く息は息_丸1.jpgである。引く息は息_四角1.jpgである。腹中に息_四角1.jpgを収め、自己の呼吸によって息_丸1.jpg息_四角1.jpgの上に収めるのです」(『武産合氣』p.134)

この丸と四角が重なった水火の結びの図は、水火(イキ)を「氣」とも読ませているので、開祖は、三元の図の△を天の気と説明されて対比されていると思いますが、三元の図の△は「天・火」を表わし、アイウエオ(天火結水地)でアが天なので、△をアと読みます。

「合氣道はまたアオウエイの五つの声の働きでもあります。これは水火(すいか)のむすびの二元に密接な関係があるのであります。神道でいう高御産巣日(たかみむすび)、神産巣日(かみむすび)の二神であります。この二つの流れ(螺旋のめぐり)の御振舞によって世界が出来るのであります」(『武産合氣』p.34)
「(大宇宙の)ご全徳を一つの剣にても天地の呼吸に同化する。即ち人として務めをするにも、息を出す折には丸く息を吐き、引く折には四角になる。そして宇宙の妙精を身中に丸く巡らし六根を浄め働かすのです。丸く吐くことは丁度水の形をし、四角は火の形を示すのであります。丸は天の呼吸を示し、四角は地の呼吸を示すのである。つまり天の気(三元の△、天=ア)によって天の呼吸(○、水=イ、日月の運行)と地の呼吸(□、火=キ、潮の満干)を合わせて技を生み出す( アイキ、即ち武産合気となる)」(『武産合氣』p.45)

如何でしょうか? 「△=ア、○=イ、□=キ」に込められた意味がはっきりとして来たでしょうか。私の説明が牽強付会( けんきょうふかい)でなく、開祖の教えの奥深いものを解きほぐすものになっていれば良いのですが…。

この部分は、次の道文と関連があります。単にアイキという言葉が出来上がったということではなく、武産合気、摩擦(連行)作用、呼吸力(水火、即ちイキの力。金剛力)という開祖が開かれた合気道の根本理念、理法、技法が出て来たという核心部分です。

「天の運化により修行する方法が即ち私の合気道であります。この一元より出てくる宇宙の営みのみ姿、水火のむすびつまり天の呼吸と地の呼吸とを合し、一つの息として産み出してゆくのを武産合気というのであります.…水精火台の生じる摩擦作用の模様と全く同一形式なのであります。…火と水の交流…天地の呼吸( 日月の運行により潮の満干が起ることを指す。合気道の摩擦連行作用)である」(『武産合氣』pp.43-44)
「天ノ浮橋とは火と水の交流である」(『武産合氣』p.134)
「呼吸の凝結が、心身に漲(みなぎ)ると、己れが意識的にせずとも、自然に呼吸が宇宙に同化し、丸く宇宙に拡がっていくのが感じられる。その次には一度拡がった呼吸が、再び自己に集まってくるのを感ずる。このような呼吸ができるようになると、精神の実在が己れの周囲に集結して、列座するように覚える。これすなわち、合気妙応の初歩の導きである。合気を無意識に導き出すには、この妙用が必要である。こうして合気妙用の導きに達すると、御造化の御徳を得、呼吸が右に螺旋して舞い昇り、左に螺旋して舞い降り、水火の結びを生ずる、摩擦連行作用を生ずる。水火の結びは、宇宙万有一切の様相根元をなすものであって、無量無辺である。この摩擦連行作用を生じさすことができてこそ、合気の真髄を把握(はあく)することができるのである。」(『合気神髄』p.87)
「一挙一動ことごとく水火の仕組みである。いまや全大宇宙は水火の凝結せるものである。みな水火の動きで生々化々大金剛力をいただいて水火の仕組みになっている。水火結んで息(いき)陰陽に結ぶ。みな生成化育の道である。稽古は中心に立つ空気を媒介として己れの魂より結んで稽古をする。いまや天運循環している。稽古は水火の仕組みを練る、習うている。伊邪那岐(いざなぎ)、伊邪那美(いざなみ)二柱の神つまり天の道を行なう。統一が一番大切である。これは梅の花。これを充分に研究しなければならない。吐く息はエイーと、円」(『合気神髄』p.141)
「合気はまず十字に結んで天底(てんてい)から地底(ちてい)息(いき)陰陽水火の結びで、己れの息を合わせて結んで、魄と魂の岩戸開きをしなければならない。魄は物の霊を魄という、宇宙組織のタマのひびきが魂である。宇宙を動かす力を持っていなければいけない。天の運化が、すべての組織を浮きあがらせ、魄と魂の二つの岩戸開きをする。これをしなくてはいけない。そうでなかったら本当の人にはなれない。それには心の洗濯が大切である」(『合気神髄』p.88)
「また、地球修理固成は気の仕組みである。息(いき)陰陽水火の結びである。そして御名は伊邪那岐(いざなぎ)、伊邪那美(いざなみ)の大神と顕現されて、その実行に移したのが合気、どんなことでも出来るようになってくる。高御産巣日(たかみむすび)の神、神産巣日(かみむすび)の神、心は丸く体三面に進んでいかなければならない」(『合気神髄』p.89)

開祖が、稽古の前、礼拝する時、いつも「ひと、ふた、み、よ、いつ、むゆ、なな、や、ここの、たり、もも、ち、よろず」と唱えられた、と伝えられています。
この時の開祖のお気持ちを推し量るには、次の道歌を詠めば良いかと思います。

「スの御親 七十五(ななそいつつ)を生み出して 森羅万象(よろずのもの)を造りたまう」(『合気神髄』p.27)
「⦿(ス)の御親七十五を生み出して 合気の道を教えたまえり」(『合気神髄』p.45)
「大御神七十五声(しちじゅうごせい)を生みなして 世の経綸をさづけ給へり」
「緒結びの七十五(ななそいつ)つの御姿は 合気となりて世をば清めつ」(『合気神髄』p.194)

開祖による古事記のこの部分に関連する説明は、大本の教え(宗教の教え)に付加する部分が大で、合気道にとっての重要な部分(教学)です。それで、開祖は宗教の教えと合気道(武産合気)とを対比して次のようにおっしゃられているのではないでしょうか。

「私の武産の合気は、宗教から出て来たのかというとそうではない。(宇宙の真理に基づいた)真の武産から宗教を照らすのです。未完の宗教を完成へと導く案内であります」(『武産合氣』p.192)
posted by 八千代合気会 at 10:53| お勧めの本